研究紹介

内藤研究室では機能性有機材料の光物性、電子物性および液晶材料の物性に関する研究を行っています。 有機高分子半導体は非常に優れた特徴を多く有しているため、実用化に向けて盛んに研究・開発が進められています。 しかし、高分子型有機半導体材料の発光機構やキャリア輸送機構、さらには劣化の機構などの物性は不明な点がまだ多く、 これらを明らかにすることが高分子型有機半導体の実用化に向けて重要な課題となっています。 光学測定ではポリフルオレン系材料やポリチオフェン系材料などのπ共役系高分子を扱っており、 蛍光スペクトルや光吸収スペクトル、光誘起吸収スペクトルなどの解析による物性解明を目的としています。

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最近では、フルオレン系材料を用いた配向膜の光学特性や高いキャリア移動度をもつポリチオフェン系材料の基礎物性の評価、 Charge Modulation Spectroscopy (CMS) による材料の評価、Gaussian 03 を用いた分子構造の解明を行っています。 有機物を用いた電子デバイスには有機発光ダイオード(OLED: organic light emitting diode)、有機電界トランジスタ(OFET: organic field-effect transistor)、 有機太陽電池などがあります。これらのデバイスは半導体層にπ共役系有機低分子、オリゴマー、高分子を用いており、 真空蒸着や溶液塗布により作製ができます。そのため低コストかつ低温プロセスでデバイスの大面積化が可能であり、 また軽量化やフレキシブル化が可能であるなど、有機電子デバイスは多くの利点を有しています。 このように有機電子デバイスはプロセス面で非常に有利であるためフレキシブル・ディスプレイ、 電子ペーパー、RFID タグなどへの応用が期待されています。

有機電子デバイスはいくらかの有機薄膜や電極などを積層して作られており、 有機薄膜内部や有機薄膜間の界面、有機薄膜と電極の界面のキャリアの振る舞いがデバイスの特性に大きな影響を与えます。 当研究室では有機電子デバイスの界面状態の解析、物理的解釈を行い、 デバイスの特性を向上させることや新たなデバイスの構築を目的としています。

また当研究室では、一般にディスプレイなどで用いられているネマティック液晶の物性について研究を行っています。 特に液晶ディスプレイにおいて、高速応答、高視野角、高コントラストが実現可能な駆動方式である、 VAモードに用いられている誘電率異方性が負(ネガ型)の液晶材料の物性評価に関する研究を、 応答速度、アンカリングエネルギーの観点から行っています。